箱庭の中空に昇った太陽は傾いて、地平線の向こう側へ沈もうとしていた。
初春に始まった神様たちの学園生活も時間が経ち、春は終わりに近づいている。
開始当初は否定的だった神様さえ、ここでの生活に馴染んできているのは
最初から協力的だった生徒会のアポロンたちのおかげだ。
……生徒会は学園長であるゼウスの指示で作られた組織で、
メンバーはギリシャ神話のアポロン、日本神話の月人、北欧神話のバルドル。
私も副会長として所属している。
生徒会室前に到着し、私は目の扉を引き開けた。
「皆さん、遅くなりました」
「あ、妖精さん……!」
部屋には全員が顔を揃えており、アポロンは私を見るなり勢いよく立ち上がった。
「待っていたよ! 待ちわびてたんだ! 君がいなくちゃ僕は駄目駄目だから!」
「ど、どういうことですか?」
何だろうと首を傾げれば、
「会長はまた無謀な提案をするつもりでしょう」
月人が淡々と考えを漏らした。
「生徒会の話とは限らない。たとえば夕食のお誘いとかね。
でもってアガナ・ベレアはわたしにお肉の贈呈を申し出て……」
無関心そうな月人とは対照的に、バルドルはあらぬ期待を抱いている。
……アポロンは生徒会長を務めていて、たびたび学園のために提案を出してくれる。
それを全員で検討し、実行のために走り回ることがこの生徒会の主な活動だ。
「百聞は一見に如かず! 資料を用意したから読んで、読んで!」
言葉と共に差し出されたのは一冊のノート。私はそれを手に取り、開いて……絶句した。
続きは電撃Girl's Style11月号にて御覧ください。